よく「自分をよく見つめましょう」とか「自分探しをしよう」などと、それがあたかも素晴らしいことのように言われることがありますが本当にそうでしょうか? このように自分に注意を向けることを、社会心理学の用語で「自己注目」と呼びます。
場合によっては「自己注目」は役に立つどころか、むしろその人の適応を妨げることが諸研究によって明らかにされています。
「自己注目」の悪いパターンの例として、自分についての「反すう」があります。
「反すう」とは、同じことを繰り返しぐるぐると考えてしまう認知的現象です。「なぜあのとき自分はあんなことを言ってしまったんだろう」「どうして自分はいつもこうなんだろう」「私はダメな人間だ」「どうせ私は何をやってもだめなんだ」「どうして私は皆から好かれないんだろう」「自分はこれからどうやって生きていけばいいんだろう」のように、自分のことについてネガティブなことばかりを考え続けていると、気分がますます悪くなります。
「反すう」そのものが問題ではありませんが、自分のネガティブな面に注目し、それを考え続けるといった「自己注目」のあり方は、抑うつ的な人によく見られる思考パターンです。
また、他者とのコミュニケーションの場で「自分は相手からどう思われているのか」と考えてしまう「自己注目」も悪いパターンといえるでしょう。
「自分が緊張していることが相手にばれてしまったのではないか」「自分は相手に嫌な思いを与えているのではないか」「(自分が)相手に嫌われたらどうしよう」「(自分は)相手から嫌われてしまったのではないか」のように、“相手にとって自分はどうであるか”という形で、自分にばかり注目してしまう思考パターンです。こんなふうに「自己注目」しながら相手と話したり、人間関係を保ったりするのはとてもつらいことです。
上記の悪いパターンのように、注意を自分に向け続けることでさらに自分自身が苦しむ結果となります。そこで必要になってくるのがそのような「自己注目」のパターンを変えること、すなわち自分以外のことに注目するように意図的に心がけることです。 これを「注意の転換(または注意の分散)」といいます。
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