他者とのより良いコミュニケーションのために大切なことの一つに「相手に共感する」が挙げられます。
「共感」とは、相手の感じたことを、あたかも自分のことのように感じることです。
「『相手が、××に対して○○と感じている』ということを理解して、その気持ちを感じ取ろうとする」気持ちなので、相手自身や話の内容に対して、「正しい・正しくない」「いい・悪い」と評価や判断はしません。自分の感情や経験から判断するのではなく、相手の体験や感情を、限りなく相手に寄り添い、自分のことのように捉えて相手の気持ちを汲むことなのです。
相手と同じ意見でなくてもいいし、同じ気持ちにならなくてもいいので、異なる価値観を持つ相手に対しても、抱くことができます。「あなたは今○○と感じているんだね」と、相手の感性や価値観を肯定して相手の気持ちや感情に焦点を当てて話を聴くことです。
●「同情」
「同情」とは、相手の感情とは関係なく、相手に対して自分自身の感情を持つことです。
「かわいそう」や「気の毒」と言うような、「他者を思いやる気持ち」から派生している気持ちですが、相手との関係に優劣をつけ、憐れみの目を向けることにより「上から目線」の気持ちになることが多くなります。そして、次に「助けてあげたい」「何かしてあげたい」という気持ちが起こると、アドバイスをしたり、過度に親切に関わろうとします。
●「同感」
「同感」とは、相手と自分自身の価値観が一致し、自分も同じように思うことです。
「私もそう思う」「私も同じ意見だよ」と話の内容(コンテンツ)に同意を示す気持ちです。自分と同じ価値観を持っている人には抱きやすいが、異なる価値観を持つ人に対しては、抱き難くなります。
言い換えると、自分が相手になり代り、その相手自身として相手の感情を自分の経験から推測する、と言えるので、自分の感情や気持ち、価値判断の話にすり替わっていきます。すると「私の場合は〜」になりますので、相手と同じように感じるとは限らないのです。
以上のように、「共感」するときは相手の気持ちや感じていることに焦点があたりますが、「同情」「同感」は自分の気持ちや感じたことを指します。すなわち、主語が“”あなた”と“私”で違うのです。
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